①会話 ②対話 ③対論
この3つの言葉の違い、
「似て非なるもの」で、意味合いが異なります。

皆さんは、おわかりになりますか?

コロナ呪縛もすっかり解けた感の今年の夏
酷暑も影響してか、マスクを付けない方も増えてきましたね。

またリアル出勤も増加したようで、
面と向かってコミュニケーションする機会も
増えつつある今日この頃かと思います。

オンラインともSNS、メールとも違い
面と向かってコミュニケーションとなると
瞬間的なやり取り、
表情や互いの温度感を感じながら、察しながらの
やり取りは相手によっては何かと難しいものです。

上司、先輩、部下、後輩など
業務上必要な意思疎通が
通じ合わないことも少なくないと思います。

伝えたはずが、伝わっていない、
返事をしたのに、期日までやっていない
やっていない理由を聞いたら、全く食い違う意見を言ってきた
ならば、自分でやった方が反って早く片付く・・・。

「アサーション(assertion)」という言葉はご存知ですか?
日本語直訳では、「主張、断言」という意味ですが、
対人コミュニケーションの手法として、アメリカで生まれて
職場コミュニケーション向けとして広く知られています。

意味は下記の3点
1.相手の意見を聞く
2.自分の意見を伝える
3.双方の意見を対等に検討し、アクションに結びつける

仕事や行動に対する考え方、優先順位は
微妙に人によって違うものです。
その食い違いに対して

自分の主張だけを押し通さず
しっかり相手の意見に耳を傾け
互いの相違を明確にして
着地点を模索するという行動です。

つまり相手にしっかり向き合うということです。

当然ですが、感情的になったり
上司、先輩だからといって
威張らず、冷静に聴くという姿勢。

さあ、冒頭の問いに戻ります。

①会話⇒互いの価値観が近しい親しい人同士のたわいないおしゃべり
②対話⇒価値観が異なる人、または何か対立項がある人、これらが歩み寄って共通の結論を出そうとすること
③対論⇒異なる意見を戦わせた結果、勝ったほうに従うもの 論理的に言い負かすことが目的

お読みになっている皆さんは、おそらくおわかりであったかと思いますが
いかがでしたか?

大切なことは、これを知っているということではなく
これら、特に「②対話」を、どれだけ仕事で実践できているかです。

ちなみに先ほどの「アサーション(assertion)」が「②対話」を指します。
参考までに「アサーティブ(assertive)」という言葉もありますが、
こちらは形容詞として使われます。
そして「アサーション(assertion)」は名詞です。
意味は同じと捉えて頂いて大丈夫です。

話を元に戻します。
この 「アサーション」「②対話」は、
なかなか難しいんですよね。

何が難しいって
意見が食い違った時に、
大なり小なりストレスを感じる場合が多く
ついついヒートアップしてしまい、気付けば「③対論」になってしまう。
そして、相手が渋々「わかりました」と言った瞬間、
「よし、合意形成完了!」と盛大なる勘違いを起こしてしまうのです。

または、意見が食い違った時に
「相手の意見で、まあいいか、着地させるのも面倒だし」
と思うと、それ以上は話を進めず
着地点を見出さないまま、「①会話」のようにふんわり終わらせる。
そして、「一応こちらの意見を言っておいた」ぐらいの曖昧さで
何も伝わっていないという悲劇。

いっぽうで、
難しいのは意見が食い違った場合だけではありません。

そもそも相手の意見を聴こうとしても
相手がそんなに話してくれない場合もあります。

「あなたの意見を聴かせて、一生懸命聴くからぁ~、ね?ほら話して!」
と、渾身の想いで伝えたとしても
「あ、はい・・・特に大丈夫です」
との回答。
もちろん、こちらの意見に
猛烈に賛同している訳はないことだけは明確な状況です。
まさに「のれんに腕押し」です。

これは普段から信頼関係が構築されていないと
本当に思っていることは、話してくれない、
逆に言うなら「アンタには話したくない」程度の関係性であり
「この人になら、話てもよい」と思わせる関係性を
普段から構築しておかないといけないということなんですよね。

類人猿タイプで言うなら、
ヒートアップし易いのがチンパンジー系
熱い主張だけに走り易いのもチンパンジー系
「③対論」になり易いのもチンパンジー系

そして部下、後輩社員がチンパンジー系なら
反撃的に意見を言ってきます。
そこから相違点を明確にし、
互いの着地点に持っていくのは、
なかなか難易度が高いものです。

この観点から
着地調整させるのが
面倒だと思い易いのがゴリラ系
相手の主張を「通してあげてもいいか」と思い易いのもゴリラ系

そして、上司、先輩社員がチンパンジー系なら
「熱いし、この人と戦っても無意味だし、従ってた方が楽だし」なんて思いながら
「あ、はい、わかりました~」と低め温度で回答するも、翌日からの行動は・・・。

さて、直接対面が増えた今日この頃
今一度、ご自身が「対話」できているかどうか客観視し
効果的な「対話」ができるよう
部下、後輩社員、そして上司、先輩社員と
向き合って頂きたいと思います。