店舗を運営している企業では、
役職に対する役割と権限について不明確なケースが多いように感じます。
店舗に関わる役職名称は次のようなものがあります。
●店舗の人たち
総括店長、総店長、店長、店長代理、副店長、サブ店長
マネージャー、シニアマネージャー
アシスタントマネージャー、サブマネージャー
リーダー、シニアリーダー、サブリーダー
チームリーダー、サブチームリーダー
チーフ、シニアチーフ、サブチーフ
●店舗を統括する人たち
統括部長、統括責任者
統括マネージャー、マネージャー
スーパーバイザー(SV)、シニアスーパーバイザー、サブスーパーバイザー
店舗マネージャー、店舗リーダー
グループリーダー、エリアマネージャー
エリア部長、エリア長
こうやって並べてみると、バラエティー豊かです。
しかも現場に近いほど、カタカナと日本語の”和洋折衷”過ぎて
何が何だかさっぱり意味がわからない感じです・・・。
参考までに”店長”を”洋風”に仕立てると
”ストアマネージャー””ショップマネージャー”となります。
ただお客さまにとってはわかりにくいので”店長”が適切ですよね。
この役職と、この役職の役割の違いはなに?とか、
どっちがエライ?とか、どっちが給与高い?とか
他にも疑問に思う点は多々あります。
ちなみに全て網羅しているわけでなく
他にも企業によってさまざまな役職名があります。
さて、この役職名の種類は豊富で”しっかり”充実しているのですが、
中身が伴っていないというお悩みの声を
店舗運営をしている企業の方々からお聞きすることがあります。
「チーフなのに、自主的に動かない」
「リーダーなんだからもっとしっかりとしてもらいたい」
「マネージャーはもっと意見をするべき」
などです。
そこで、こちらからはこんな質問をしてみました。
「本人が”やりたい”と言ってその役職に就いたんですか?」
そうすると
「そうじゃないんです」「他に居ないんです」
「社歴が4年なのでそろそろかと思って・・・」
など、微妙な理由があるようです。
このあたりは制度化されておらず、
上司の推薦などで決まる場合が多いと思いますが、
会社側が勝手に役職に就けておいて
役職ついたから本人が自主的に動ける、であろうという
何とも身勝手な期待!(失礼しました・・)となってしまっています。
ちなみにその役職に就いたご本人に意見を聞いてみると
「ほぼ無理矢理にさせられました」
「何となく気付いたらなってました」が割と多く、
「一応、上に行きたいと言いました」なんて意見ももちろんありました。
しかしながら、着任の後ほぼ放置状態も多く
結局役職に対する役割を理解する機会もなく、モチベートもされないまま日々過ぎているようです。
そもそも役職がどんな役割を担うのかも明確に知らされず、
ただただ
”会社として期待している”
”うまく纏めて欲しい”
そして極めつけの言葉
『あなたの成長のためなんだよ・・』
一瞬思いやりがあるようで、体のいいお手抜き表現。
いわゆる”店長”は
その店舗における予算達成という
明確なミッションが見えてきますが、
”リーダー””チーフ”など、いわゆる中間管理職は、ぼんやりとしていることが多いようですね。
「後輩達の手本となる行動が取れる人」
「周囲に好影響を与える人」
「上長をサポートする人」
なんて表現もありますが、
そうなると役職ではなく、その業務に従事している従業員における
ランク評価のほうが、解り易く明確であると思われます。
もちろんそのランクによって基本給が変わること。
ちなみにこれは決して年功序列ではありません。
あくまでも正当に平等に評価の機会が与えられ
そして納得感のある公平な評価の判断がなされる。
ソロプレイヤーとして実績だけでもダメ
→”営業スター型”
全体の和を乱すことなく調和のある人ということだけでもダメ
→ ”平和公務員型”
この環境整備ができていないのに
役職名だけ立派に揃っている店舗もお見受けします。
役職のタイトルを付けることはもちろん大事ですが、
簡単に付けられることに甘んじていては
従業員の士気を高めることも、その企業の社員としての成長にも
繋がりにくいかもしれません。
今日もついつい言ってしまってませんか?
「あいつが伸びないのはリーダーであるアナタのせいだ」
「チーフであるあなたがもっとしっかり躾指導しないと」
過度な期待による都合のよい責任だけ背負わせて
でも給与はそれまでと変わらずとなると
これだけ働き方改革云々と言われている日本では
自主的に行動する人は、なかなか出てきませんよね。
そこだけ令和でも平成でもなく”昭和”のままです。
役職にはその役割と、
何の権限を持っているのかを明確することがやはり重要です。
「しっかりとまとめて」「みんなをまとめて」
「みんなが前向きに取り組めるように管理する」
というような抽象的な表現ではなく
日々のどんなことをする役割なのかです。
もちろん、「シフト作成」「在庫管理」「出納」「各種報告書作成」
などのいわゆる
“事務的な作業”も役割でしょう。
いろいろある中で、
一番の重要なのは「スタッフのマネジメント」です。
”みんなをしっかりまとめる”ってことですか?
”みんなが前向きに取り組めるように管理する?”ことですか?
言葉の意味はわかりますが、具体的に何をするんですか?
と質問したくなると思います。
その答えですが、
結局のところ「人の気持ちを動かすこと」と言えるのではないでしょうか。
言葉で伝えたり、行動で伝えながら、
スタッフの気持ちに作用させて考え方や行動に変化を起こさせる。
決して簡単なことではないですが、
日々の細かい動きで変わることがあります。
例えば、
・言葉の表現を変える
・話す順番を変える
・声の大きさを変える
・話すスピードを変える
・表情を変える
・スタッフの気持ちを察する
・スタッフの気持ちに共感共鳴する
・スタッフの話を最後まで聴く
こういった細かいところを実践することも「人の気持ちを動かすこと」に繋がります。
今一度、役職につける時には、しっかりと「動機づけ」したほうが良いと思います。