さて、ここ数年のキャリア主導による

「売れっ!売れっ!獲りまくれっ!」
「他社から奪えっ!奪いまくれっ!」
「達成しないと、1円たりともカネは出さん!」
(少々荒っぽい表現で失礼しました・・・)

と、思われても仕方ないような流れのおかげで
お客さま志向がスッポリ抜け気味のスタッフはいませんか?

世代で言うと、ここ5年間くらいに入社した方々。
また、それ以前に入社したスタッフでも
該当する場合があるかもしれません。

もちろん、スタッフ全員がという訳ではないこともお忘れなく。

「限られた時間枠で数多の提案と成約が必須条件」
ということが大前提の現状で、

「ご要望手続きは迅速瞬足に処理する(まるで事務処理のベルトコンベヤー)」
「お客さまのハナシは、特に共感せず受け流して長引かせない」
「アレコレの操作質問やアプリ設定などはキッパリバッサリ断る」
「兎にも角にも提案の時間確保とサービス説明に勝負(ある意味、命)をかける」
「断られたら理由を聞き、ネガティブを徹底的に潰してクロージングをかける」
とまぁ、こんなところでしょうか・・・。

こう思って行動しているスタッフを
決して責めている訳ではありません。
ある意味、今の業界を反映した
スーパースターなのかもしれません。

提案したい店側の要望、
そしてスタッフ個々のミッションを優先するがゆえ、
お客さまの感情、心情がないがしろにされ、
商談中におけるお客さまのモチベーションが下がり
残念な思いと共に店舗を後にするお客さまも少なくないのでは。

ケータイショップのGoogleクチコミレビューをみると
同じ店舗とは思えないほど
天と地ほど激しい差のあるコメントが目に付きます。

また、特定スタッフを指しているような内容が多く
良い内容が集まるスタッフと、そうでないスタッフが
ハッキリしているものも散見されます。

Google口コミレビューは、NPSアンケートと違い、
ユーザーの率直な感想だけが記載されていること。

いっぽうNPSアンケートは、
運営側の意図に沿った質問となるため
絶賛神コメントなのに低評価はなぜ?
となることも少なくないと思います。

そういう意味ではGoogleの評価は
感じたままの評価と言えるのかもしれません。

いずれにせよ、
来店当日の応対スタッフによって
お客さまの印象値が大きく変わることに間違いありません。

その応対したスタッフからは、

「売れと言われた多種多様な商材を売らなきゃいけないから仕方ない!」
「お客さまの要望をいちいち聞いてたら予約通りに回せない」
「所詮、ケータイ屋の接客って、こんなんでいいんでしょ?」
「だって、キャリアも会社も求めてるのが、このやり方でしょ?」
「クレーム?私のせいじゃない!店長、会社、キャリアが悪い!」

などの愚痴が聞こえてきそうです・・・。

数値の結果が出ることは、
キャリア評価、社内利益上、とても重要であります。

いっぽうで
◎接客コミュニケーションスキルが崩壊してしまうこと、
◎『客の立場になって応対する』という接客マインドと行動が消えてしまうこと

これらは避けたいところですよね。
では、どうすればよいか?

マインドの醸成は時間がかかることを前提に、
スタッフにこう伝えるのはいかがでしょうか?

「できないことを言われたら、心象を悪くしない断り方を」
「心象悪くしない提案の断られ方を」

この“心象悪くしない”というのがキーワード

一般的には
「心象良くする」「喜んで頂く」「ご満足頂く」
なんてポジティブな表現を使うと思うのですが、
現実的ではありません。

特に「できないご要望の断り方」は
結論、お客さまのご要望は叶えられないので
どれだけ代替案や、心情に配慮した優しい表現、態度であっても
結局、お客さまが仰るご要望にはお応えできない訳です。

よって「喜んで頂く断り方」は現実的ではないのです。

提案もしかりで、
お客さまは「要らない」と思った提案に
「要らないです」と伝えるだけでも
プチストレスが溜まり易いものです。

そんなお客さまのストレスに
ケアする言葉、表現があるだけで、
多少はお客さまのストレスは緩和されるでしょう。

「この人たちも、仕事だから仕方ないかぁ・・・」

と思って貰えるようにするには
どんな言葉を言えばよいのか?なんて考える時間を
営業時間外のミーティングの場で持ってみるのも有益かと思います。

新年度は、都度都度メンバーに
こういう内容を思い起こさせながら、
運営して頂きたいと願うばかりです。