さて、今回は上司から部下への注意指導について。
注意指導したい内容は、概ね下記のポイントであると思われます。
①業務品質に関すること(指示されたやり方でやらない、指示内容をやらない、低い仕上がりなど)
②目標達成に関すること(約束期日までに仕上げない、営業目標未達など)
③勤務態度に関すること(ギリギリの出勤、挨拶返事をしない、極めて私語が多いなど)
④チームワークに関すること(周囲に対して当たりが強い、協調性がなく周囲に悪影響を与えているなど)
ちなみに研修で、よく皆さんから話題に挙がるのが、①と②で、その次に③、④です。
先輩、上長にとって、
その状況が続くとチーム全体のストレスとなり、
業務の成果にも大きく影響します。
そのため早く改善してもらいたいと、
注意指導という行動に繋がるわけですよね。
ただ、この注意指導とは伝える側にはストレスで
言われる側にはセンシティブな内容です。
どうしても言い方が優しくなり過ぎたり、
強くなり過ぎたりと、本質的に上手く伝わらず、
返事はするものの、態度、行動は変わらずという場合や、
拗ねたり逆ギレしたりと、
スムーズにいかないことはよくあるお話です。
そもそも、こういうことは人生の中で
練習や訓練をしないですからね。
社会に出るまでに
幼稚園や小中高の授業の中で
「人への伝え方~イヤなことをされた時~」
「ダメなことを見つけた時の注意の仕方」
「指摘された時の聴き方」
「注意された時の謝り方」
なんていう授業があればよいのにと
つくづく思う今日この頃です。
そこで伝える前に少し整理するところからやってみてはいかがでしょうか?
(もしされている方はお許しください)
その注意指導したい行動が、
A:真面目にやっていて起こったことか
B:不注意によって起こったことか
C:故意であったか(納得していない、やる気がない、相手に対する嫌悪感など)
この整理によって、注意する際の
理由付けが明確になり、相手に少しでも伝わりやすくなるかと思います。
もちろん傍目で見ていて、
3種のうちどれかわかる場合もあれば、
本人にしかわからない場合もあるので、
一概に整理できるものではないと思います。
ただ、日々の働きっぷりをしっかりと見て
本人とコミュニケーションを取っていれば、
ある程度予測はできる場合が多いと思うので
落ち着いて本人に確認するとよいでしょう。
信頼関係が維持できていれば真意で話してくれると思います。
では、肝心な注意の仕方ですが、
ストレスの勢いに任せて強めに注意すると
「すいませんでした」「わかりました」とは言うものの
数日は改善しても、喉元過ぎれば元通り・・・。
また、数日だけでも改善すればまだマシな方で
返事はしたけど、
何も行動が変わらないということもよくあると思います。
この状態は、当の本人に
「改善しよう」「改善しなきゃ」
という動機ができておらず、
口先だけで了承する“やり過ごし行為”で
その場から逃げて終わるというパターンです。
結局、注意する側も、面倒くさくなり
言うのを諦めてしまう。
または、冷静になれず
“怒り”という武器を猛烈に利用して
感情の赴くままに、相手を詰めていく・・・。
詰められる方も改善する理由が、
「この人がうるさいから」
「この人が怒っているから」
「この人が恐いから」 などと
本質的なことから遠ざかっていきます。
そして相手によっては
逆恨みの感情を持ち、
「むしろ絶対改善したくない」
という動機に繋がることもあります。
この場合は、信頼関係が皆無状態ですよね。
また相手によっては、逆恨みの怒りではなく
言ってくる先輩、上司に「恐怖心」を抱いて
「またこの人を怒らせてしまった」
「また申し訳ないことをしてしまった」と
自責の念が強くなり、徐々にストレスを溜めていく。
そこから心の病に陥り、最悪の状況も招きかねないと言えます。
特に冒頭の4つのポイントの中で
②の営業目標未達で、A真面目にやっているという状況であれば
それは、いちばん危険です。
追い詰め型の注意指導や一方的な説教ではなく、
一緒に考えるという姿勢が重要です。
いずれにせよ、
冷静に話すことに越したことはありません。
かく言う私は、お恥ずかしい話、
この冷静に話すという点において
これまでの人生、散々失敗しております・・・汗。
個人差はあると思いますが、
自分自身の弱点改善というのは
なかなか難しいことなんですよね。
頭ではわかっていても云々・・・というものです。
よって、注意指導する側
つまり部下を持つ上長の覚悟として
部下も自分自身も互いに
「自身の弱点改善は一日して成らず」です。
注意指導したからと言って、
即変わることを期待せず
ゆっくり変わっていくものと捉えて頂きたいです。
もちろん即変わる場合もありますが、
明らかに変わらないケースの方が多いと思います。
また、たとえ10%の改善であっても成長
30%の改善であっても成長と
わずかでも変化を成長と捉えることも大切です。
そしてその改善をしっかりと承認して、
相手に自信を持ってもらうことです。
100%ではなく、どれくらいを落としどころとするか
譲歩のようなものかと私は思います。
部下、相手の行動に
100%を求めると必ずあなた自身が疲れます。
つまり注意指導とは、
言う側のココロにバッファ“ゆとり”を持つことです。
最後に類人猿タイプを用いてお伝えします。
注意指導したい相手(部下)が、
チンパンジータイプの場合。
注意指導する側に、「強さ」が必要です。
この強さとは、怒りではないことお間違えなく。
「真剣さ」「言い切る覚悟」です。
具体的には、
低めの声で、相手の目をみて
しっかりと話すということです。
もし注意指導する側(上司)が、ゴリラタイプの場合
どうしても優しくフワリとしてしまいがちで
チンパンジータイプの部下から、なめられるかもしれません。
サラリと流されて響かない可能性が高いということです。
一方で、注意指導する側(上司)が
チンパンジータイプの場合は
即効『圧力スイッチ全開』にできる分
相手に“怒り”“攻撃”と受け止められ易いので
柔和に伝えることの方が適切です。
具体的には、
落ち着いた声で、
ゆっくり話すということです。
そしてチンパンジータイプの部下は
あの手この手で挑発してくる可能性も高いです。
それに乗らないこと。
「引き金」を引かれそうになっても
落ち着いていられるように鍛錬して頂きたいです。
もちろん、この私も(笑