最近、CHAT-GPTという言葉をよく耳にするようになりました。

例えば、小学生が「この本の感想文をお願い」と頼むと
速攻、該当書籍の感想文を小学生向けの文章でAIが回答してくれるとのこと。

これからの子供達の頭脳は
ラクし過ぎてしまって思考力は育つのか?と懸念しつつ
すべて英語や中国語、フランス語、韓国語、
どんな外国語でも回答もできるとのことで
あっという間に外国語をモノにして
いとも簡単に会話ができる
小学生や幼稚園児がたくさん出てくるかもと思うと
それはそれで、スゴイ!とも思った次第。

世界中で注目度の高いAIですが、
HP上でのチャット機能を使った
お客さま向け相談窓口のように
接客にも活用されつつあります。

ケータイショップに来られるご年配のお客さまで
『このスマホのねぇ、
アレがぁ、ほらぁ!
ず~っと 前からアレだからぁ、
ホンットに困ってて、
アレして欲しいのよっ!
ねっ? お願いっ!
アナタ、プロなんだから、わかるでしょっ?』

という意味不明の難題をご用件として言われるケース。

もし、このお客さまの喋り言葉を
AI版フロアマネージャーが瞬速理解して
お客さまの不安に共感しつつ
難なく解り易い言葉で説明して解決し
お客さまも大満足でお帰りになったら、
いよいよAIに乗っ取られ
人間は不必要になるかもと思う今日この頃です。

さて、前回のチンパンジータイプの新人スタッフへの
教え方、接し方に続き
今回はゴリラタイプの新人スタッフです。

あくまで私の経験値ですが、
どこのどんな組織であれ、
チンパンジータイプのスタッフより
ゴリラタイプの新人スタッフのほうが多いと思います。

ゴリラタイプは日本人の標準と言っても過言ではないかもしれません。
「NOと言えない日本人」=ゴリラタイプと言いましょうか。
ただ、口と腹は別であることもお忘れなく。
本音は『言えない』もあれば、あえて『言わない』もあるということです。
もっと言うなら『こっちの気持ちを理解できない人には本音を言わないよ~』です。
まさに、とりあえずやり過ごし、適当に受け流すという対人スキル。
社会で上手くやりくりするための必須アイテムですよね。

そういう意味でも言うと
誰でも大なり小なり持ち合わせています。
つまり濃淡はあるものの誰しもが
ゴリラ的要素はあると考えると良いでしょう。

では、改めてゴリラタイプの特徴から説明致します。
自己主張が特段ある訳でもなく、
周囲と合わせようとし、目立たず、波風立てず、
大きな変化も好まない平和安定志向の調和型です。
チーム、グループ、集団、団体、組織になると、
調和はなくてはならないものです。

よって、スピード感を伴った競争、成果主義、弱肉強食
大きな変革、挑戦、垂直立ち上げ、ロケットスタート
などのキーワードに対しては、
「頑張りましょう!」と言い、周りと合わせつつ
実際の行動は後回し(優先順位が低く)になりがちです。

ただ、大きな目標や方向性が超具体的に明確になり、
そのための手順や手法が、しっかりルール化され
無理のないスケジュール感で、ゴールが決まると
安心して習熟する行動に移せますが、

無茶なスケジュール感や高過ぎる目標設定で
言われた側にとって具体感や現実味がなく
トライアンドエラーを強引に求められる……。
例えニンジン的な報奨金がどれだけ積まれても
途端にモチベーションはダダ下がりとなります。

一方で、日によっての感情における浮き沈みがなく
いつも同じペースで仕事をやれるという継続安定型であるため
毎日の運営においてとても頼りがいのある存在となります。
よって開店、閉店作業や提案接客へのサポートに関する業務において
確実にやってくれる強みがあります。

そんなゴリラタイプの新人に対する接し方、育て方は
具体的に細かく、できる範囲でゆっくりと教えることです。
手順はわかりやすく、お客さまへの説明の仕方は
言い方の例文を記載してあげることです。
もちろん教える場合は、項目毎にマスターする期日、ゴールを
伝えることもお忘れなく。

もし、先生役のスタッフがチンパンジータイプなら要注意。
細かく教えられるより、自分自身で考えたいがゆえ
新人スタッフにも同じようにザックリ教えてしまうからです。
「これはその時の流れ、臨機応変に!」と、やり方はザックリ
「すべて“なるはや”で!」と、常にプライオリティNO.1!

もしチンパンジータイプの先生役のスタッフの場合は、
注意するように優しく教えてあげて下さい。

では、もう少し掘り下げていきます。

例えば、手順は段階手順となるように整理して
一つ目は◎◎◎する
2つ目は△△△する
そのあと3つ目は・・・・・。

こんな感じで順序だてて伝えると
覚えやすくなります。
もちろん資料に表記する時は
①◎◎◎する
②△△△する
③・・・・・・
と箇条書きにして、
それ以外は口頭で説明すると
ゴリラタイプの新人スタッフは
その該当番号のところに一生懸命にメモすると思います。
よって、メモしやすい空欄を用意してあげると、
後で見やすいメモとなるでしょう。

一つ項目を説明をしたら、
すぐに次の説明に入らずに
必ずメモが書き終わるのを待ってあげること。

強引に進めてしまうと、乱書きのメモとなり
本人が後で見返してもよくわからず、
そのままで新しい内容が上書きされ
元の情報が消化されないまま、
先生役の進行スピードに引っ張られてしまいます。

きっと新人は迷いながらストレスを感じつつ
もし先生役のスタッフから
「ここまで大丈夫?」と聞かれても
「あっ、はい・・・大丈夫です・・・」と
なんとも歯切れの悪い回答となる状況です。

ちなみにこのシチュエーションにおいて
ゴリラタイプの新人スタッフの心情は次の通り。

『せっかく一生懸命に教えて下さっているので、
途中でわからないなんて聞くと
教える進行の邪魔をしてしまい、
反って申し訳ない・・・。
だから、質問しないでおこう。
いつかそういう機会があるかも・・・。』

こんな感じだそうです。

無駄な気遣いとはこのことで、
新人期間中の給料分の最大の仕事は
教えられることをしっかりと確実に自分のモノとして吸収すること。

つまり、消化不良のまま放置は論外なんです。
しかし、それは新人スタッフが悪いのか?
昭和平成なら新人スタッフが悪いと言われたでしょう。
しかし時代は令和です。

先生役の先輩スタッフのほうが
よほどの理由がない限り立場は強いので、
新人スタッフからすると
「質問しにくい」「言えない」状況が発生しやすいのです。

しかも前段の調和型のゴリラタイプなので
「メモの時間をちゃんと取って貰わないと、消化できません。
必ず一つ説明が終わればメモの時間を下さい!」
なんて、本人から意見してくる訳もありません。

で、理解できておらず、そのまま放置していることが
発覚した時に先生役のスタッフは、きっとこう言うでしょう。

「わからないんだったら、なんでわからないって言わないわけぇ?⤴」
「大丈夫?って聞いたとき、大丈夫ですって言ったよねぇ?⤴」
「あれは嘘?あなたはウソつき?」
「こっちも忙しいんだからぁ!!」

こう言われた新人スタッフはきっとこう言うでしょう。

「すみません・・・」
「次からはちゃんと聞くようにします・・・」

おそらく、このあとも、こういうやり取りの繰り返し。
きっと新人スタッフのココロの扉は少しずつ
閉ざされていくという流れです。

新人の本音はと言うと

「そんなこと言えるわけないし」
「わからないなんて言ったら怖いし」
「もう少しゆっくり教えてほしい・・・なんて言えない
だって、先輩も忙しそうだし・・・迷惑かけるし」
「ていうか、この先輩に私の気持ちなんて理解できないはず」
「適当に謝っておこう・・・」

こんな感じでしょうか。

本音で言える関係性こそ
信頼関係ができている証しですが、
ゴリラタイプのココロを開示してもらうための
関係づくりは、ある意味難しいかもしれません。

それは何よりも普段のコミュニケーションが
相手と抗うことなく素直に指示に従うような特徴があるから
『この新人は私に心を開いてくれている』と
先生役のスタッフが、都合よく勘違いしやすいということです。

言い換えれば
「対人関係においてソツなくやり過ごせる」ということです。

だからこそ新人スタッフの心理をできる限り
理解してあげて、歩調を合わせてあげるくらいの
精神的なゆとりが、先生役のスタッフに求められるのかもしれません。

そんな時間的なゆとりなんてありません!!

なんて言われそうですが、
仮にそのスピード感で教えても
結局、習得できていなければ同じです。

ここは自動車のマニュアル車にあるクラッチを思い出して頂き
(AT車限定の方には解りにくい説明で申し訳ありません)
素早く足を離してしまうとエンストしてしまうので、
確実に繋がるまでゆっくり離していく・・・
信頼関係が出来上がるまで、ゆっくりと丁寧に教える。
そのほうが効率良くに育ってくれる。

どうか先生役のスタッフに伝えて頂ければと思います。

最後にゴリラタイプへの褒め言葉は
『すごい!さすが!天才‼︎』など
チンパンジータイプ向けの表現ではなく

『ありがとう』『助かった』
『あなたのお陰でうまくいった』などの
支えてくれたこと、陰でこっそりやってくれていたことへの表現です。
仮に獲得してくれた場合で言うと
『すげ~!よくやった!』もいいのですが、
『店の実績に貢献してくれてありがとう!』
となります。

今回はこれぐらいで。

次回は、オランウータンタイプの新人スタッフへの接し方について
説明致します。

いち早く、新人スタッフが先生役のスタッフや周囲のスタッフに
心を開示して、信頼関係が築かれることを祈っております。